深田 上 免田 岡原 須恵

ヨケマン談義11.昔懐かしふるさとの味

11-16.ねったくり : ねったんぽ

 まず、熊本県立南稜高校(以前の球磨農業高校)の鶴本先生からのお便りから紹介する。
「手作りで食べていたおやつは何ですか?」の問いに対する1年生の答えは、多かったものから順に書くと、ねったんぼ、おはぎ、チマキ、ダゴの砂糖漬け、いもけんぴ、ぜんざい、饅頭、ゆでだご、大学芋、いきなり団子、豆乳ドーナッツ、いちご大福 、ポン菓子、きなこ餅、カライモ、スイートポテト、お嶽さん饅頭・・だったそうである。

 「ねったんぼ」「おはぎ」「ぜんざい」は多くの生徒が答えていたとのことで、昭和年代生まれの筆者も納得である。また、水上出身の生徒は、中学校でお嶽さん饅頭をつくったとのことであるが、初めて聞く饅頭である。調べてみると、水上村特産のお土産品になっていて、正確には、「おたけさん万十」である。本稿でも後ほど紹介することにする。

サツマイモ ご飯 小麦粉 ねったんぼ
図1.ねったくり:ねったんぽ の材料と出来上がり品(右端)

 球磨には、昭和30年くらいまでしかいなかった筆者には、この「お嶽さん饅頭」もそうである が、知らないオヤツ、初めて聞くオヤツがかなりあるが、覚えのある昔のオヤツもいくつかある。昔も今も人気だった「ねったくり:ねったんぽ」であるが、あさぎり町議会議長(当時)の山口さんは、「練った食い」とか「練ったぼ」と漢字の名前で記憶されていた。

 さてその作り方である。図1は、「ねったくり:ねったんぽ」を再現した時の主な材料である。左から、カライモ(サツマイモ)で、今回はホクホク食感のある鳴門金時を使った。今日では、黄色や紫など鮮やかな色をしたカライモがあるから、それらを使えば色バラエティーに富む。次は、ご飯であるが、もち米を利用する方法もあり、あさぎり町の井上さんや鶴本先生宅ではそうだったようである。同じくあさぎり町上地区出身の皆越さんからは、米は使わずカライモと小麦粉だけのねったくりを紹介していただいた。さて、これらの情報をもとにご飯米を使った筆者の作り方を紹介しよう。

 ・カライモ(さつまいも)の皮をむいて蒸す。
 ・蒸し上がり、熱気がとれたらサイコロ状に切る。
 ・ボールに刻んだイモとご飯と小麦粉を好みに応じて入れ、かき混ぜながら潰し、潰しながら
  かき混ぜる。カライモの種類によっては、甘味が足りないので、加糖する。練って練って
  ネッタくり状態にするからその名があると思うが、それほど練らず、粒々感(つぶつぶかん)
  を残した状態にすれば素朴感が出る。
形は、丸めて団子風にしてあるが、平らにのばし、好みの型で抜いてもよい。非常に粘り気があるので黄な粉を振りかけると、味も増す。さらにおまけの味は、丸めた「ねったくり」を平らにしてフライパンか網にのせ焦げ目をつけると、焼きダゴと焼きおにぎりの風味が出る。

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